2016年4月14日、六本木ヒルズ51階にて第3回ビューティ・ビジネス・コンプライアンス勉強会(BBCA)が開催された。
今回は経済産業省 商務情報政策局 商務流通保安グループ 商取引監督 課長の坂本 里和氏から、「割賦販売法について」の講演を、その後はRIZAP株式会社 代表取締役 瀬戸健社長から「RIZAP 結果にコミットする力」について講演をいただいた。
特に瀬戸健社長は、BBCAに参加している経営者メンバーと年齢が近しいこともあり、講演後の名刺交換では、短い間ではあったが多くの参加者が講義の感想や経営に関する質問などを、熱心に瀬戸社長と言葉を交わしていた。
懇親会後には、司会進行の佐藤尊徳氏から、
「様々な意見や本を参考にすることは重要だが、最終的には自分の頭で考え結論を下すことが大切。
何か問題があった時も、最終的に自分で判断することを繰り返すことで、思考や行動、顔つきも変わっていく。
これからの美容業界を牽引する経営者として、様々な知識を貪欲に吸収していってください。」
と述べた。
目次
講義(経済産業省 商務情報政策局 商務流通保安グループ 商取引監督 課長の坂本 里和氏)
坂本氏からは割賦販売法の定義とその沿革、さらに関連法規について等を講演いただいた。
割賦販売法は、商品代金やサービス代金の分割払いに関するルールを定めた法律で、その歴史は古く昭和36年に施行された法律だ。
当初は主にミシン、テレビ等の割賦販売が対象であったが、その後時代の変遷にあわせ、互助会、ネット販売、マルチ商法など様々な業種で起こる割賦販売のトラブルに対応してきている。
割賦販売は1回あたりの支払が少額なため消費者の金銭的な抵抗が少なく、支払総額を把握しにくい点もあるため消費者トラブルになりやすい。
継続役務を提供するエステ業界では、個別クレジット(ショッピングクレジット)の形で割賦販売を取り入れているサロンが多くあるが、この継続役務をはじめ、訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引等は割賦販売法だけではなく消費者庁管轄の特商法の対象ともなっており、これらのふたつの法律を遵守する必要がある。
特にクーリングオフに関しては、
クレジット契約と併せて役務提供契約も解除されたものとみなされるが、この部分で混乱する消費者も多いため事前の説明や書面の提示が重要だという。
なお、坂本氏は経済産業省で3年以上ダイバーシティへの取り組みに関わっており、女性の活躍促進が企業のガバナンス強化、破綻確率削減、経営指標の向上、株式パフォーマンス向上等に寄与するというデータや事例も示してくださった。エステ業界は以前から女性経営者が多いが、今後の業界全体の発展のためにも更なる女性の活躍へ期待したいという言葉で講義を結んだ。
Q:クレジット契約における支払可能見込額はクレジット会社によって異なるのか?
A:割賦販売法では、年間収入・預貯金額から年間に必要な生活費、クレジットの支払に充当する額等を差し引いた額支払可能見込額としているが、クレジット会社毎に消費者の過去の債務の支払状況等を元に、独自の審査も併せて行っている場合もあり、最終的なクレジット契約金額が異なる可能性はある。
Q:美容関連のスクールを運営しているが、資格取得に前向きな若い主婦等が教育ローンに通らないことが多い。資格を取得して手に職をつけたいと考えているのに、ローンが通らずに道をあきらめる方が多く運営元として歯がゆい点が多い。このような条件を変えることはできないのか。
A:悪質な販売店が関与する個別クレジット契約による多重責務者の増加を背景として、支払可能見込額調査義務の規制が設けられた。目的が消費者保護のため、規制を緩和するためには様々な方面からの調査・検証が必要になるため難しいが、おっしゃることはよく理解できるため、今後の参考とさせていただきたい。
Q:今後エステティック業界がより発展するためにも、アドバイスをお願いしたい。
A:エステサロンのサービスは長期間に渡る役務提供が中心のため、消費者からの中途解約に関する苦情や相談が比較的多い。中途解約に関しては割賦販売法とあわせて特商法関わってくるため、消費者が中途解約の制度や仕組みをきちんと理解した上で契約を締結できるような取組を行うことが、消費者トラブルの未然防止に繋がると考える。。なお経済産業省としては、できるだけ消費者・販売者双方の意見に耳を傾け啓蒙していきたいと考えている。
講義「RIZAP 結果にコミットする力」(RIZAP株式会社 代表取締役 瀬戸 健氏)
第二部では、RIZAP株式会社 代表取締役瀬戸健社長が「結果にコミットする力」という題で講演を行った。 同社では、結果はもちろんだがそこに至るまでにプロセスも重視しており、日々の仕事にやりがいを持てる環境を作っている。今の結果は2,3年前の行動から繋がっており、今の行動が数年後の結果に繋がるという意識のもと、思考停止せずに毎日できることを日々積み上げていくことの大切さについて、自身の体験談も含め分かりやすく抗議をしてくださった。
急遽打ち合わせが入ってしまったため瀬戸社長は不在となったが、懇親会では他の参加メンバーと近況を報告しあったり、今後の展望について語りあうなど活気のある会話が繰り広げられた。