勉強会報告

【第一期】第4回勉強会 2016年7月5日【平林 明裕氏 ・近藤 太香巳氏】

2016年7月5日、六本木ヒルズ51階にて第4回ビューティ・ビジネス・コンプライアンス勉強会(BBCA)が開催された。

第1期最後となる今回の勉強会では、冒頭に事務局の佐々木広行が、今期の勉強会の振り返りや成果について、また第2期のスケジュールについてなどを述べた。

佐々木は、

「本勉強会の今期の成果という点では、エステティシャンの技術・接客力を審査する業界最大の大会「エステティックグランプリ(通称:エスグラ)」のファイナルステージに自由民主党の野田聖子代議士が選挙中の多忙なスケジュールの中で来場いただいた点が挙げられます。

『美容ビジネス関連の経営者(経済人)と官僚(役人)と政治家の三者(官・民・政)の間で情報および意見交換を行う場をつくる』ことは本勉強会の設立主旨でもあり、業界にとっても新しい一歩となりました。引き続き、参加者全員で業界の活性化に向けて尽力していきましょう。」

と述べた。

講義「特定商取引法の概要について」(消費者庁取引対策課 法令係長 平林 明裕氏)

今回は消費者庁取引対策課の法令係長平林氏から、特定商取引法について講義をいただいた。

エステを中心とする継続的役務においては平成4年頃から消費者トラブルが増加、行政から各業界団体に取引適正化のために自主ルール策定を指導した。

これを受けてエステ業界においても広告規制やクーリング・オフ、中途解約といった自主ルールを導入し、一旦はトラブルも減少したが、平成7年頃から再び増加傾向になったことを受けて行政は平成11年に特定商取引法(旧:訪問販売法)を改正し、エステサービスを「特定継続的役務」として規制対象へと位置づけた。

 

「特定継続的役務」とは、身体の美化、知識、技能向上などを実現させるために誘引が行われるが、役務の性質上、目的が実現するかどうかが確実ではないものを指す。エステの場合は1ヵ月間を超えて役務を提供し、かつ総額5万円を超えるものについて、特定継続的役務提供として同法が適用となる。

消費者相談のよくある例として、

「言葉巧みに誘われて契約したがやはり高額すぎるので解約したい」
「2ヵ月で効果が出ると言っていたが半年経っても思うような効果が出ない」

など、消費者が不安定な意思のまま契約を締結するケースがトラブルの原因になりやすいと平林氏は話す。

このようなトラブルを回避すべく、特定継続的役務提供の規制として「誇大広告等の禁止」「不当な勧誘行為の禁止」「書面交付義務」など様々な規制を行っているが、特に不当な勧誘行為に関しては消費者の相談も多く、「いつでも予約ができると言われたが実際には予約が殺到していて予約が満足に取れないことを故意に告げなかった」という不実告知や、「声を荒げて契約書へのサインを催促され、怖くて契約をしてしまった」という威迫・困惑行為などが禁止されている。

これらに違反した場合、行政処分や刑事罰の対象となる。
また、取引の適正化のための民事ルールとして、「クーリング・オフ」や「中途解約」制度が用意されていると、分かりやすく説明いただいた。

Q:現在は6業種が特商法の対象となっているが、今後増える可能性はあるか?

A:特商法は消費者トラブルの発生している分野を規制してきた歴史があるので、今後、他業種で現行の指定業種と同様のトラブルが生じれば指定される可能性はある。消費者センター等に対する相談件数や消費者トラブルが多く、業界による自主規制だけではこれらを防ぎきれないというケースがあれば、同法の対象として検討する可能性はある。ただし特定継続的役務提供は、長期且つ高額な契約が対象となるため、都度払いのサービスなどは対象外となる。

 

Q:クーリング・オフ期間(契約書面交付日から8日間)は今後、延長される可能性はあるか。

A:絶対にないとは言えないが、クーリング・オフは極めて強力な権利であるため、取引の安定性を図る観点から易々と延長できるようなものでもない。今後、8日間では解決できない悪質な事例が多発すれば延長の検討がされるかもしれないが、少なくとも現時点では延長される予定はない。

 

Q:契約時は予約が取れやすかったが、夏などの繁忙期に予約がとれにくくなったなどの場合は、これも不実告知に該当するのか。

A:不実告知は「事実と異なることを告げること」であり、御指摘のケースでそのようなことを告げていないのであれば該当しない。ただ、繁忙期に予約が取りにくいというのが予想できるのであれば、消費者トラブル防止の観点から事前に伝えるのがベストであろう。

 

Q:エステ業界のコンプライアンスは以前と比較して改善されていると思われるか。

A:特定商取引法の分野について言うと、平成21年9月の消費者庁設置からの7年間で国からのエステ会社への行政処分は1件のみとなっており、相対的に問題の多い業界というわけではないと思う。とはいえ、エステ業界に関する消費者トラブルは起きており、中には悪質な事例もあるので、こうした会合等を通じてコンプライアンスの向上を図っていただくのは良いことだと思う。

講義「人が輝けば、企業が輝く ~夢はおおぞらへ、努力は足元へ~」

株式会社ネクシィーズグループ 代表取締役社長 兼 グループ代表 近藤 太香巳氏

第二部では、株式会社ネクシィーズグループの代表取締役社長 兼 グループ代表の近藤 太香巳氏が講演を行った。

19歳の時に50万円の資金で起業し、その後上場を経てさらに今に至るまでの様々な経験に裏打ちされた言葉はどれも重みがあり、ビジネスの本質について、人財育成について、運の管理についてなど多岐にわたる講義に対して、参加者はメモを取りながら真剣に聞き入り、あっという間に1時間が過ぎたという印象だった。

懇親会は近藤社長も参加してくださり、参加者一人ひとりが自社のビジネスや経営、人材育成等に関する様々な質問を個別でぶつけるという、他にはない貴重な機会となった。

参加者全員が近藤社長の圧倒的な講義に感銘を受けており、プレゼン力や伝える力の習得方法について、また人脈形成、人間関係構築のポイントについて、さらにエステ業界におけるWebやITの更なる活用法についてなどを惜しみなく話し合うことができ、講義同様に内容の濃い時間となった。

PAGE TOP