2016年2月15日、六本木ヒルズ51階にて第2回ビューティ・ビジネス・コンプライアンス勉強会(BBCA)が開催された。
2回目となる今回は、消費者庁表示対策課長の真渕博氏による「景品表示法について」とSBCメディカルグループ・湘南美容外科クリニック総院長の相川佳之氏による「情熱経営」に関する講義という、経営者にとって大変興味深い内容の講義ばかりのため参加者からも開催前からとても楽しみにしていたという声が多く挙がっていた。
さらに今回は、美容業界のコンプライアンス向上、業界発展のために同じ志を持つメンバーとして新たに1名が加わった。
冒頭の挨拶としてBBCA事務局長の佐々木広行は
「最新のコンプライアンスを学び、経営陣間で情報共有と意見交換を行うことがビューティ・ビジネス・コンプライアンス勉強会(BBCA)の設立目的です。
今回のように、消費者庁の方や美容業界トップの経営者の方からリアルに講義を頂ける機会はそうそうありません。ぜひ、本日の内容を経営に活かしていただければと思います。」
と述べた。
目次
講義(消費者庁表示対策課長 真渕 博氏)
消費者表示対策課の真渕氏からは景品表示法についての講義をいただいた。
景品表示法は「景品の規制」「表示の規制」の2つで構成されており、会社に限らず医療法人や学校法人も対象となる。
特に「表記の規制」に関しては、商品ラベルやパッケージだけではなく、チラシやネット広告、CM、さらに電話勧誘時のセールストークもがその対象となる。
不当表示には優良誤認表示、有利誤認表示などがあるが、商品や役務を実際の品質・規格以上によく見せる「優良誤認」に関しては、美容関連商材でも違反事例が複数報告されている。
抗しわ効果があると謳う美容液やクリーム、美顔器、小顔矯正、ダイエットや美容関連のサプリメントなどが該当し、いずれも消費者庁からの不実証広告規制に基づく資料提出要請に対し合理的な根拠を提示できず、不当表示とみなされている。
優良誤認表示の内容としては、効果効能に関する表現(シワを薄くする、身長を伸ばす、痩せる等)や二重価格(恒常的なキャンペーン実施、半額表示など)に関するものが多く、参加者の多くが実際の営業現場と照らし合わせながら講義に聞き入っていた。
さらに、ここ最近の飲食店での虚偽のメニュー表示が表面化したことなどを受け、消費者庁ではこの1年で2回法改正を行っている。
内容は「コンプライアンス体制の確立」「監視指導体制の強化」といった義務規定の導入だ。
さらに顧客誘引防止策として、行政の指導に対して改善を行わない場合は売上の一部を賦課する「課徴金納付制度」も導入する。
課徴金納付制度については今年(2016年)4月からの施行となる。
講義に関連して参加者からは以下の質問があり、真渕氏が回答している。
Q:不当表示については、消費者庁内でチェックする調査機関などがあるのか?
A:職権調査を行っているが、全体では同業他社、一般消費者、所管の行政機関、内部告発などによる情報提供が多数を占める。
2015年は情報提供全体で6300件程度が寄せられ、このうち289件が調査対象になっている。
Q:消費庁から不実証広告規制による資料提出要請があった際に、企業側が合理的根拠をだしたものの認められなかったという事例はないのか。
A:ない。消費者庁で事前に様々な観点から調査・確認を行っているためだ。
講義(SBCグループ 湘南美容外科クリニック 総院長 相川 佳之氏)
第二部はSBCグループ総院長の相川氏が「情熱経営」と題し、新規事業を始める際のポイントや独自の「売り」の見つけ方・作り方、時流を読む方法について、そして現状把握の重要性についてなど熱く語った。
いずれもすぐに現場で活かせる内容ばかりで、多くの参加者がメモを取ったりスライドを撮影して講義に聞き入っていた。
参加者からは、
「講義内容に圧倒された。学んだことは即アウトプットしたい」
「数字に対するこだわりや考え方を少しでも参考にしたい。話を伺って、自分自身のモチベーションがMAXになった」
「忙しい毎日なのに日々クリニックの様子をチェックしているという点に本当に驚いた。穏やかな講義の裏にある、日々の努力や継続といったものを感じ、学ばせていただきたい」
など、即実践したいという意気込みある感想がほとんどだった。
懇親会
懇親会では、特別ゲストの相川氏を交え、業界の今後やビジネスについて語った。
参加者からの要望により、特別に相川氏から「値上げ・値下げのコツ」について、ボードを使って丁寧に説明していただくなど、最後の最後まで経営に活かせる内容が満載の勉強会となった。