勉強会報告

【第二期】第2回勉強会 2016年11月11日【内田 今朝雄氏 ・野尻 佳孝氏】

内田 今朝雄 野尻 佳孝

講義「人生で大切にしてきたこと~資生堂コピーライターからクレアボー編集長への軌跡」

 内田 今朝雄

有限会社フレグランスジャーナル社クレアボー編集長 内田 今朝雄氏

第一講義では、日本人の美意識を広告・宣伝という観点で先導し続けている資生堂にて、長年コピーライター、CMプランナー、アートディレクターとして活躍されてきた内田 今朝雄氏から、美意識を高める秘訣や大切にしていることについて講義をいただいた。

内田氏は大学時代にフランス文化研究会等や放送研究会に所属する中で、物を伝達する 仕事やコミュニケーション文化に興味をもち、就職活動ではジャーナリストや記者、編集者の道を志す。

しかし新卒採用の門は厳しく、なかなか思うような結果を出せない中で出会ったのが、新聞に掲載された小さな資生堂の欠員募集の広告だったという。
引き寄せられるように応募をし、見事難関を突破しコピーライターとして入社する。

入社後は社内報の企画からスタートし、雑誌広告等も次第に手掛けるようになり、入社2年目にコピーライターなら誰もが目指すTCC新人賞を受賞
その後は花椿編集室やコスメニティー宣伝企画部、宣伝制作室などを歩み、資生堂における様々な商品の今でも名作として歴史に残る素晴らしいコピーや広告を生み出し続けてきた。

内田氏が資生堂にて精力的にクリエイティブ活動を行う中で一貫していたものは、「ワクワクが止まらない」ものを作り続けたいという想いであり、そのために内田氏自身も日々美意識を磨いてきたと話す。
また生み出す作品には品格があるかどうかという点を、常に問い続けたという。

資生堂退社後は、フレグランスジャーナル社のクレアボー編集長として現在も編集、企画、書籍制作などを行っている。
コピーライター時代の経験を活かし、雑誌の記事タイトルはキャッチーなものになるよう意識するなど独自の経験に基づく視点を織込みながら編集長として活躍されている。

定期的に開催している本勉強会では、エステティックサロン、ネイルサロン、美容メーカー、メディアといった美容健康関連事業者が集い、定期的にコンプライアンスや「攻め」と「守り」の経営について意見交換を行っている。
今回の内田氏の講義は、美容・健康事業に関わる経営者として、美意識や感性を磨き続けることの大切さを教えてくださった。

「これからの時代に必要な経営戦略」

 

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ代表取締役会長 野尻 佳孝氏

第二講義では、ブライダル産業に新風を吹き込んだ寵児ともいえる株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ代表取締役会長 野尻 佳孝氏から、「これからの時代に必要な経営戦略」について講義をいただいた。冒頭で野尻氏は自身の生い立ちについて、また起業家になろうとした経緯をユーモアも交えて話をしてくださった。

父が経営者であったこともあり、中高時代から商売を身近に感じて過ごしていた野尻氏は、当時アメリカで流行していたアメカジに着目し、知人が運営するアパレルショップで 製造・販売を始めたところ、渋谷を中心に爆発的に人気が広がっていったという。

さらにこの渋谷発のアメカジは、「渋カジ」と呼ばれメディアからも大きく注目を集めることになり、さらに大きなムーブメントになっていくのを目の当たりにし、ニュースタイル、ニューカルチャーを作り出し世の中を動かすことに興味を持ち始める。

その後、新卒で入社した会社では500社以上のベンチャー起業社長に出会い営業やコンサルティングを行う中で、IT業界や人材業界などいくつかある成長分野の中でも人を喜ばせることができる冠婚葬祭の分野で独立しようと決意。

野尻 佳孝

どんな結婚をこれからの人はしたいのか?
という、野尻氏が得意とする「トレンドの先取り」力によって起業後わずか3年でIPOを実現、その後急成長を遂げる。
リーマンショックでどん底も味わいながらも幹部や社員の熱い信頼によって企業は復活成長し、その後は0から海外事業を立ち上げるなどで現在に至るという。

そんな野尻氏が現在最も力を入れているのが、CSV的発想を取り入れて経済価値を上げる活動だ。
CSR(Corporate Social Responsibility)という言葉はよく耳にするが、野尻氏が大事にしているのは、CSV(Creating Shared Value)、つまり「社会的価値を高めつつ事業として利益も出せる活動」であり、本業で利益を出しながら社会貢献をすることが、これからの経営戦略において重要であることを、事例を含め丁寧に説明してくださった。

海外では新興の靴メーカーが靴一足を購入することで後進国にも靴を一足届けることができるというコンセプトで販売を行い、5年で1兆円規模の会社に成長した。
その他、海外のスポーツブランドでは率先してオーガニック素材を使用し、自然破壊を行わない ように徹底することで消費者の支持を得ている。一昔前は便利であることが購入時のポイントだったが、すでにモノに満たされている現在は、消費者はそのモノの価値で判断していると話す。

同社でもすでにCSVに基づいた事業を複数手掛けているが、実施に当たって野尻氏が大事にしたのが、ローカルファースト、環境問題、雇用問題等だという。
現在はホテル事業、障害者事業、公的不動産事業等を手掛けており、すでに様々な大手企業から連携・提携の話が多数きており、CSVは多くの企業が注目している経営戦略であると実例も交えて語った。

講演後の質問では、参加者からスタッフ教育に関する質問があった。

 

この質問に対して野尻氏は、様々な場でスタッフ教育について質問されることが多いが、スタッフ教育の前に「採用」と「価値観の共有」をきちんと行えば足並みは揃う、と答える。
価値観が同じであるかどうかを採用時に確認できていれば入社後にブレることはほぼ無い。

また入社だけではなく出口(退社)にも気を付けており、普段から「代謝活動もしっかりやろう」と伝えているという。
会社に合わないと感じたら自由に去ってOK!
という辞めやすい風土も作ることで、自然とコアバリューに共感するスタッフだけが残るようになると言い、参加者は頷きながらメモを取っていた。

懇親会はクレアボー編集長の内田今朝雄様にも参加していただき、参加者全員が自己紹介を行った後は美容業界の変遷について内田氏が普段は聞くことができない貴重な話をしてくださった他、今後の美容業界について全員で意見を交換する場が設けられた。

懇親会

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